霊仙寺は、「一路一景」と呼称され夷(えびす)耶馬とも呼ばれる夷谷に挟まれた場所にあり、養老2年(718)仁聞菩薩によって開かれたと言われています。寺格は六郷満山末山本寺で、最盛期には十二坊を有し、香々地荘全域の信仰を集め、六郷満山諸寺院の中でも屈指の大寺でした。かつて霊仙寺講堂は、隣接する六所神社拝殿の位置にあり、隣の実相院を支院としていました。その様はまさに神仏習合を象徴するものでしたが、明治初期の神仏分離令で寺院は切り離されました。 本尊は千手観世音菩薩で、毎年2月18日に御開帳され拝観することができます。(以前は不動明王と阿弥陀如来を本尊とした時期もありました。)境内には九州随一の巨大な地蔵尊が鎮座し「願かけ地蔵」として地域の人に愛されています。他にも貴重な石造文化財が並び、裏山からは十六羅漢が人々を温かく見守っています。 六郷満山文化を知る上でも重要なお寺であり、また座禅と写経の体験をすることができるので国東半島寺院巡りの際には、ぜひ足を延ばしてみてはいかがでしょうか。