緒方川に臨む断崖に、人一人ようやく通れる小路があり、鉄鎖を伝って淵に懸かる岩の上に降りると、頭上の垂直な岸壁に不動明王立像1躯が浮彫となり、足下は緒方川の急流が渦を巻き、不動ケ淵と呼ばれています。修験関係の造像であり、恐らく潔斎した後、川を泳ぎ渡って不動明王に祈念する荒行がなされていたものだと推測されます。不動明王像は両眼を大きく見聞き、胸甲、脛当部を着する姿は、通常の不動明王像と異なり、部分的にも誇張した表現が強く感じられます。彫刻的には稚拙なところが多く、江戸中期以降の造顕とみられています。 【参考文献】:大野川